割れて反転する世界

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「俺と、麻衣子が……?」 ――けれど、一番憎いのは……このアタシだ。  何もできず、何も持たず、何の価値もないこのアタシが、一番憎い!  消してくれ!  もうこの世界から、アタシを消してよ!  ずっと人を恨んで、世界を憎んで、産まれたことを悔やんで生きてきたんだ。  もう、終わらせて……。 「バカヤロウ!」  俺は、麻衣子を……いや、世界に絶望したその女の魂を、抱きしめた。 「消してくれなんて、寂しいこと言うなよ……」  俺は、もうすでに号泣している。  涙で目の前なんか何も見えやしない。  だから、目を閉じた。 「報われてくれよ! そこまで辛い目にあったなら、来世ではきっと良いことあるから! じゃないと……じゃないと俺……」  壊れそうだよ。  この世界の理不尽さに、心が壊れそうだ。  幸せになってくれ、頼むから! 「君に価値がないとか、誰が決めたんだよ! そんだけ辛い目にあっても、頑張ったんだろ!? 頑張って頑張って生き抜いたんだろ!? それだけですげーよ! 誰も真似できねーって!」  俺なら何回心が折れて、自殺しているかも分からないような人生を、この人は歩いてきたんだ。  それは、それだけは間違いなく、胸を張っていいだろ?     
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