7人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺と、麻衣子が……?」
――けれど、一番憎いのは……このアタシだ。
何もできず、何も持たず、何の価値もないこのアタシが、一番憎い!
消してくれ!
もうこの世界から、アタシを消してよ!
ずっと人を恨んで、世界を憎んで、産まれたことを悔やんで生きてきたんだ。
もう、終わらせて……。
「バカヤロウ!」
俺は、麻衣子を……いや、世界に絶望したその女の魂を、抱きしめた。
「消してくれなんて、寂しいこと言うなよ……」
俺は、もうすでに号泣している。
涙で目の前なんか何も見えやしない。
だから、目を閉じた。
「報われてくれよ! そこまで辛い目にあったなら、来世ではきっと良いことあるから! じゃないと……じゃないと俺……」
壊れそうだよ。
この世界の理不尽さに、心が壊れそうだ。
幸せになってくれ、頼むから!
「君に価値がないとか、誰が決めたんだよ! そんだけ辛い目にあっても、頑張ったんだろ!? 頑張って頑張って生き抜いたんだろ!? それだけですげーよ! 誰も真似できねーって!」
俺なら何回心が折れて、自殺しているかも分からないような人生を、この人は歩いてきたんだ。
それは、それだけは間違いなく、胸を張っていいだろ?
最初のコメントを投稿しよう!