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 起きてから時計を見ると、時計の短針は十を過ぎていた。朝方に寝たこともなければ、八時以降まで寝ていたこともない。そのせいか頭が重くて仕方がなかった。  パジャマから私服に着替えてすぐ、ユイとミワに連絡を入れた。一時間後に昨日のファーストフード店で待ち合わせをした。  用意を済ませ、二十分前に家を出た。これでちょうどくらいだろう。  店に入って二階を目指した。おそらく、昨日と同じ場所にいるだろうと思ったからだ。  二階につくと、角の席でユイとミワが会話をしていた。昨日とは少しだけ様子が違った。ユイは俯き、ミワは右腕を背もたれに引っ掛けていた。 「お待たせ」 「お、来たんだ」  アキホが合流しても、ミワは態度を崩さなかった。 「写真、撮ってきたよ」  スマフォを渡すと、ミワは画面をスライドさせて写真を見た。  合計五枚ほどの写真を見終わり、アキホのもとにスマフォが帰ってきた。 「まさかホントに行くとは」  言われていることの意味がよくわからなかった。 「ミワちゃんも行ったんでしょ? だから、私も行ったんだよ?」  アキホが身を乗り出すと、ミワは下を向いて震え始めた。そしてすぐに顔を上げ、大きな声で笑いだした。 「本気で言ってんの? んなわけないじゃん! あそこさ、結構ヤバイ連中がたむろしてるって噂なんだよ? しかもそんな都市伝説ねーから!」 「じゃあ、なんであんなこと言ったの……?」  テーブルの上で、握り拳がわなわなと震え出した。 「楽しいからに決まってんじゃん。ユイから聞いてさ、絶対面白いことになるって思ったんだよ。いやー、あのままヤバイ連中にでも掴まってくれた方が面白かったんだけどさ。ほら、ユイもなんか言ってやりなよ」  ゆっくりとユイの方を見た。 「ごめんね、アキホ」 「なんで、なんでこんな嘘ついたの」 「ユイはさ、ペットなんだよ。私が通ってる高校、実はユイと同じなんだ。ちなみにこの髪はウィッグだし、普段は化粧なんてしないよ? 学校でやると文句言われちゃうし」  動悸がした。息が苦しい。べたつくような汗が、腕に足に、背中にとへばりついていた。 「上手くやったじゃんユイ」
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