fd4 家族が増えて引っ越しをする、そして…

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「パパの思い出だ。」 「思い出?」 「あぁ。」 そう元には戻らない思い出。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「小雪…別れよ。」 「どうして…?」 「もう疲れたんだよ。」 そうあの時俺はそうとう参っていた。 なかなか仕事が決まらず、ふらふらする毎日。 小雪に当たっては喧嘩ばかりしていた。 「私のこと嫌いになったの…?」 「そういうわけじゃない。」 「じゃあなんでよ!私は涼太と離れたくない!」 小雪は声をあげ、そう言うが、 「こんな俺といてもいい事なんてねぇよ。」 「そんな事…。」 「とにかく!もう俺は決めたんだよ。 小雪わかってくれ。」 「いやだ!」 小雪にそう言われるが、俺は逃げるように 家の外へと向かう。 「涼太!」 「小雪、今までありがとな。 俺、お前と付き合ってた事幸せだったよ。」 「りょう…た。」 小雪は泣きながら俺を呼ぶ。 でも俺の決心は変わらない。 「じゃあな。」 それだけを言い残し、俺と小雪は別れた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「…パ、…パパ!」 「ごめん、ごめん。」 「どうしたの?パパ、とても悲しい顔してた。」 相変わらず美咲は勘がいいな。 「なんでもないよ。」 「ほんと?」 「あぁ。」 これ以上美咲に心配かけまいと、お開きにする。 「また明日も掃除とかで朝早いからもう寝ようか。」 「うん。パパおやすみ。」 「あぁ、おやすみ。」 美咲は自室へ戻っていく。 「あの時、小雪には悪いことしたな。」 俺は後悔しながら、布団に入る。 (俺は本当はまだ小雪のことが…) そこまで考えたところで俺は意識を手放した。
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