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正直おれは少し舐めていた。
(全然見つからないだとっ!)
あれから10分がたったが、美咲ちゃんは
まったく見つからない。
(この家ってかなり広いんだよな。)
そう思いながら歩いてるとふと目の前に
池があるのが見えた。
(この池って…。)
その池を見て、昔を思い出した。
~15年前~
その時俺は池にいる鯉を見ていて、
珍しいもんだから、手を伸ばして触ろうたしたら
足を滑らせ、落ちてしまった。
突然の出来事に溺れかけたところに
おじさんが助けにきてくれたんだ。
『ゴホッ!ゴホッ!』
『涼太!大丈夫か??怪我はないか??』
『うん…おじさん、ごめなさい…』
『………。』
俺はおじさんが怒ってると思い謝った。
でもおじさんはなにも言わず、
頭の上に手をあて撫でてくれた。
『よかった。涼太が無事で。』
『怒ってないの?』
『怒るもなにも、子供なんだから
しょうがないだろ。』
『そんなことよりも、怪我がないか
心配だったからな。』
『うん…。』
『お前は、俺の息子みたいな存在なんだから。』
そう言われ、俺は心の中がポカポカと
暖かい気持ちになった。
ちなみにこの時親父がこの人だったらいいのにと
思ったのは秘密だ。
「懐かしいな…、おじさん。」
俺は懐かしんでいたが、隠れんぼの
途中だったのを思い出し、美咲ちゃんを
探しにいくことにした。
「全然見つからないな~。」
俺がそう思い、探していると
襖の前に立っている美咲ちゃんを見つけた。
「あっ?美咲ちゃんみっけ!」
そういう俺に美咲ちゃんから返事がない。
悲しそうな顔で襖の奥を見ている。
「どうしたの?美咲ちゃん?」
美咲ちゃんを俺の顔見ると
何故か走って逃げていった。
「あっ!待って!」
美咲ちゃんを追いかけようとしたが
襖の奥から声が聞こえ、
それを偶然聞いてしまったのだった。
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