fd1 父親になりました!

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”バンッ!!” 俺は勢いよく襖を開け、親戚達に言い放った。 「あんた達があの子のことを 悪く言うんじゃねぇ!!」 「誰なのあなた!?」 「そうだぞっ、大人の話首を突っ込むな!」 いきなり入ってきた俺に親戚達からは 風当たりは強いが、俺はそんなの関係なく 喋り始めた。 「さっきから聞いてりゃ、あの子のことを 疫病神だとか、施設に入れちまえだとか そんなことしか言えねぇのか!?」 「なにをいってるの!本当のことじゃない!」 それを聞いてもっとヒートアップする。 「あの子がなんか悪いことしたのか、 あの子は両親がいなくなって悲しんでんだぞ! それを支えてやるのが大人の役目だろ!」 俺がそう言うと親戚達は黙り込んだが 俺はそれでも言い続ける。 「あの子のお父さんだって立派だったよ! 俺はあの人のことを尊敬してたんだ、 その人の子供が悪いなんてあるわけない!」 「涼太…、お前、英樹の事をそんなに。」 「あぁっ!だから俺はたった今決めた!」 俺がそう言うと、親戚達が、 「なにをだ…?」 「俺があの子を引き取ります!!」 俺の発言に親父は、 「涼太!お前本気で言ってるのか!」 「あぁ、本気だよ。俺があの子を引き取って 人並みに、いやそれ以上に…幸せな生活を 送らせてやる!!」 「でも涼太君、子育てっていうのは すごく大変なものよ。」 「おばさん、いいんです!おじさんが 大切にしてた人を俺が守ってやるって 決めたんです!」 俺がそこまで言うと、親父が口を開いた。 「涼太…本気なんだな?」 「あぁ…」 「わかった。そこまで言うならあの子を頼む。」 「親父…俺、がんばるよ!絶対あの子を 幸せに過ごさせてみせる!」 「聡!本気で言ってるの!?」 「そうだ。みなさんもそれでいいですね?」 親父がそう言うとみんなは黙ったまま頷いた。 「あっ!そういえば親父、美咲ちゃん 見なかったか?」 「確か…池の方に走ってったな。」 「わかった!親父ありがとうな!」 俺はそれだけ言い、美咲ちゃんがいるであろう 池に向かって部屋を後にした。
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