fd1 父親になりました!

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俺は美咲ちゃんがいるであろう 池に向かっていた。 「いたっ!!」 美咲ちゃんは池を眺めながら座っていた。 俺は息をあげながら美咲ちゃんの横に座った。 「はぁ…はぁ…っ、ここにいたのか。」 「さっきのお兄ちゃん?どうしたの。」 「いや、なんでもないよ。」 「………。」 「………。」 二人の間に沈黙が続いたが ふと美咲ちゃんが喋りかけてきた。 「ねぇ、お兄ちゃん?」 「どうした?」 「美咲は、いらない子なの?」 美咲ちゃんは悲しそうで、泣きそう声で言った。 「どうしてそう思うんだ?」 「だって…みんな美咲のこと嫌ってる。 だからママも私とパパを置いてったんでしょ?」 美咲ちゃんがそう語りかけるが 俺は言い放った。 「美咲ちゃんのお母さんのことは知らないけど お父さんのことは知ってるよ。」 「どういうこと…?」 「おじさん…、美咲ちゃんのお父さんは 美咲ちゃんのことをとても大事にしていたと 思うよ。美咲ちゃんが幸せに暮らせるように 頑張ってたはずだ。だから美咲ちゃんのことを 嫌ってるはずがない。」 「おにぃ…ちゃんっ…!」 「いいよ、いっぱい我慢したね? 泣きたい時は泣いていいんだ。我慢する 必要はないんだよ。」 俺がそう言うと美咲ちゃんは俺に抱きつき 泣いていた。それをおじさんがあの時、 俺の頭を撫でてくれたように俺も頭を撫で続けた。
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