10人が本棚に入れています
本棚に追加
/143ページ
「じゃっ、退院次第ここに来てもらえる?」
指に紙切れを挟みながらそれを十夜に渡す
「…うす」
「今の内に養生してねーではでは失礼ー」
軽快に病室から去る耀子に、眉を潜めて訝しがる十夜
「…今の内に…ってこたぁ…過酷なんだろうな。やっぱ」
プルルルル…
ピッ!
「叶です。連城十夜君、勧誘成功しました…ええ、はい…
恐らく、今も母親の事が胸中にあるんだと思います……」
母親を罹患者に殺されたという…悲痛な過去ーー
それが彼の中に潜む罹患者への圧倒的憎悪の根源ーー
振り返り、背にした病院を見て耀子は呟く
「……道は険しいわよ…お互いね…」
最初のコメントを投稿しよう!