闇に仇なす闇

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「柾木って野郎の写真はあるか?」 「はい、こちらになります」 ホワイトボードの前にスクリーンが現れる プロジェクターが点灯し、スクリーンに一人の男が映し出された 男は中肉中背の無精髭を生やした黒い短髪で、これといった特徴もない。強いて言えば、目の下のクマが酷い 「柾木 兵吾 41歳 現在は無職です。アークスに所属していたのは4年ほど前になりますね…アークス在籍時も目立った功績等無かったので、彼自身に強大な力があるとは思えません。が…」 「が??」 「もう一枚、写真を映します」 パッ また新たな人物の写真が現れた 今度は、綺麗な顔立ちをした青年だった 髪は金髪で、耳にピアスをしている 「こいつは……!」 「この方はご存知かも知れませんね 数年前世間を騒がせた罹患者… 幾島 霧斗です」 「幾島…!!」 「…誰なんすか?」 十夜が尋ねた 「数年前に大量殺人を犯しながら未だに捕まってねえ殺人鬼だ… その残忍な手口は世間を震撼させた…厄介な事にこいつは、帰克者だ」 「帰克者…つまり、ダークナイツ並って事ですか?」 「そう言っても過言じゃねえな…」 「…剣屋の野郎…ヘマしねえといいが…」 「…鴫田さん」 「んぁ?」 「さっきの剣屋ってオッさんは強いんすか?」 「オッさんて…まだ20代だぞあいつ… まあ、強えよ。ダークナイツでも上位だなーー口は悪いし態度もでけえが、実力は本物だよ」 「…鴫田さんよりも?」 「それはねえかな!」 「だが幾島も…かなり強いはずだぜ…なんせ、当時奴は…」 ダークナイツを一人、殺してるーーー ーーーー神奈川県 横浜市 赤煉瓦倉庫が立ち並ぶ有名観光地、その近くの高いタワーの展望台から、眼下を眺める耳に赤いピアスをつけた金髪の男 「相変わらず素敵な街だ…広大な海、高層ビル、賑わう街…全てが生を彩っているね」 「…だけど、一つ足りないものがあるよね…」 おそらく付き人であろう後ろにいる初老の男が尋ねた 「…なんでしょうか?」 「ーー恐怖だよ… 恐怖こそが最も生を彩るファクターさ… 恐怖を失った人間は、死者と同じ」 「何かに怯え生きる毎日こそ、意義を見出し輝くんだ。そうだろ?」 「…霧斗様の言う通りですね」 「さて、と。じゃ、彩ろうか…久しぶりに」 人々に巣食う恐怖を以って、輝ける生をーーー
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