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その人物の口添えがあったからこそ、成蘭での『冬樹』の成績が優秀だったこともあり、上手く処理して成桜への転入を学校側が認めてくれたのだった。
だから、ある意味、成蘭と成桜が姉妹校であることは、夏樹にとって感謝してもしきれない程有難いことなのだが…。
(流石に男子校から女子校へ転入っていうのは、トップシークレット、ってヤツ…なんだろうな…)
友人にも言えない事があるというのは正直辛いが、八年間『冬樹』としてその正体を隠し通してきた自分にとって、これ位のことは何でもないことのように思えた。
自らの想いに僅かに表情を曇らせている夏樹には気付くことなく、愛美は嬉しそうに言葉を続ける。
「成桜と成蘭って、女子校と男子校じゃない?本当かどうか分からないけど、両校を合併して一つの共学校にしようって話しが出たこともあったんだって」
「へぇ…。そうなんだ?」
「でも現実問題それはなかなか難しいってことで、毎年両校でのイベント交流会をやってるんだって」
「交流会?…どういうものなの?」
「イベント内容は、毎年両校の生徒会で話し合って決めるらしいんだけど、今年は合同でクリスマス・パーティーをやるって言ってたよ。超楽しみだよね♪」
「マジでっ?…っていうか、本当に?」
一瞬、素の男言葉が出掛けて、慌てて訂正をする。
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