第壱鬼

3/5
前へ
/12ページ
次へ
それから一ヶ月、ハクは剣術だけではなく私の一族のことも教えてくれた。 私の一族は元々影に生きる一族。 鬼だけでなくその他の妖怪の退治もしていたらしい。 だがある日突如現れた鬼の総大将、酒呑童子によって一族は散り散りになり魔力も失われた。 国宮家のようにまだ魔力を持つものは鬼を退治しているらしい。 「一ヶ月、よく頑張ったな」 「ありがとう、もうあの時のような泣き言を言う私ではなくなった」 私は持っている鮭の姿に似た刀を向きに照らす。 待っててね、お父さん、お兄ちゃん。 「・・・あや、早速だが仕事だ」 ハクが遠くを見つめる。 私もそちらの方を見つめる。 「聞こえる・・・」 人々の叫び声、そして微か感じる鬼の気配。 「村人達が鬼に襲われている・・・」 「あや、わかるのか?」 「なんとなくだけどね、急ごう」 私は急いでハクに跨ると気配のする方へ向かった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加