第零鬼 おにぎり屋

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「えぇそうですが・・・私になにか?」 すると男は一枚の手紙を取り出した。 「あんたの兄貴から預かった物だ」 あやの両親はあやが幼い時に行方不明になり、残った兄も数年前に行方不明になっていた。 「兄が!?兄は今どこにいるのですか!」 「お前・・・知らないのか?」 「知らないも何もおにぎりを届けに行くといって出ていったきりなんです。どこにいるか教えてください!」 「お前の両親や兄貴がどんな仕事をしてたか聞かされてないのか?」 「え?うちはおにぎり屋ですが・・・」 「・・・知らないで生活してた方が良かったかもしれねぇな。とりあえず渡したからな」 そう言うと男は人混みの中へと消えていった。 「あや、手紙にはなんて書いているの?」 あやは手紙を開いて読み上げた。 あや、元気で暮らしているか? これを読んでいるということはもう20歳という事か あやには話してなかったが、俺たち国宮一族は20歳になると本業の方をする掟がある。 俺はその掟に従い家を出た。 だがあやには選ぶ権利がある、この地図の元にいけ。 それを見てからお前の人生を決めろ。 ただし、地図の場所には満月の夜にいけ。 「満月ならたしか明後日くらいだったと思うぞ」 「ハク、なんで分かるの?」 「俺にもよくわかんないけど満月になると体がうずうずするんだ、だから近づいたら何となくわかるよ」 「なるほどね、地図の場所・・・かなり遠いわね、ここからだと1日はかかりそうね。お兄ちゃんがせっかく手紙をくれたんだ、店を閉めて早速向かいましょう」 そう言うと早々に店じまいをし、ハクとともに店をあとにした。
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