前記

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《カボチャと卵と真夏の夜の夢》 とある春の復活祭 色鮮やかに塗られた卵が エッグロールで坂道転がり 崖から落ちて割れかけたのが 大きな白鴉に咥えられ お城の塔の天辺の巣へ 其処より生まれた王国を 模様剥げるまで見守りました とある秋の収穫祭 小さなお化け達を笑顔で出迎え 蝋燭の火で焦げた南瓜ランタン 香ばしくも粉々に砕かれ 万聖節には畑の肥やしに 主の思し召しか魔女の気紛れか 翌年の村は豊作となり 南瓜で埋め尽くされました とある年の夏祭りの夜 何でも手に入る平和な国では お囃子に合わせ歌い踊り 屋台通りを練り歩く人々 素通りするは御先祖様か神様か 狐の面で素顔を隠し 花火の名残と共に消え去る 気付かぬ内に世の綻びを直して 戯れなる小話も 浮かれた真夏の宵の見せる夢 ※エッグロール=イースターに行われる卵転がしゲーム。
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