前記

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《文芸夜想曲》 月が落とす弧影の空白に 片言の哲学と一匙の本音 文豪主催のお茶会の後で 残ったクッキーを摘む鼠 薄荷色の溜め息ついたら 流れる星も行き場を失う 銀のヴェールに霞む街で 言の葉を編む名も無き心 口下手な奇人が紡ぐ戯曲より 親愛なる全ての旅人達へ 笛吹きがフェルト帽に隠した 永遠の謎とは如何なるものか マグノリアの香水仄かに 移りし紙束から零れ出た 色の無い文字の羅列へ 命を吹き込む祝祭の鐘 静かな月夜に流れた星が 心の弦に落ちて奏でる夜想曲
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