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《天の川の娘》 煌めく星を軽やかに踏み 宇宙の大河を渡る蒼い靴 緑の黒髪には月長石の簪 移り気な瞳は魂そのもの 隕石の煉瓦で築いた家に 太陽光を詰めた釣り灯籠 銀河の鈴虫の歌に合わせ 弾む足取り揺らめく裳裾 年に一度の逢瀬だなんて 何処ぞの姫君だけで十分 星の物語に名を残すより 自由な風と踊ってたいわ 瞬く光の奔流を纏い 誰よりも眩く美しく 天の川の娘は在りて 真空の闇をも惹き付ける 遠い地上からは見えはしない けれど私には貴方が見えるの 短冊に託した夢を叶えたなら どんな季節でも逢いに行くわ たゆまぬ努力の結晶が輝かす 瞳こそが隣に立つに相応しい たおやかなる繊手を取る事を 許される幸運はさて誰の手に?
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