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《次は、中津埠頭 大浜水族館前です》
車内アナウンスに背中を押され、ホームに降り立つ。
ゆっくりと階段を上り、改札を出る。
平日の早朝に、殆どの店はシャッターを下ろし水族館もまだ開いていない。
人の姿はまばらでしかない。
視線を巡らして、【大浜海浜公園】の案内標識を見つける。
大通りに沿って、水族館の前を通り抜け数分歩けば堤防が見えた。
斜めに造られた狭い石の階段を上り、大きく息を吐く。
眼前に、海が広がった。
決して透き通る青い海では無いけれど、広がる海は、自由な時を運んできたように思えた。
眼を細め眺める海は、心を軽くした。
頬に感じる潮風を、瞳を閉じて思いっきり吸い込んだ。
躰の隅々に行き渡らせるかのように、大きく大きく吸い込んだ。
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