今夜は

今日は

　仕事帰り

　「仕事終わったから今から向かうね」

　そういいながら彼の家に向かうため、地下鉄に乗り込む。

　地下鉄に乗って彼に会うまで３０分。

　その間も妄想に浸るのである。

　今日はもしかしたら告白されるかもしれない！
　そういうときは、素直に「私も好きだよ！」と答えよう。
　今日の彼は仕事帰りだし、スーツだよね。
　かっこいいよね！スーツって！

　なんて低レベルな妄想なんだろうと思いながらも、妄想しているのだ。

　彼の笑顔を思い浮かべているのだ。

　つくづく私の脳は彼に侵されているらしい。

　今日は、何を話そうかな。
　今日は、どういう話を聞かせてくれるのかな。
　今日は、彼、元気かな。仕事で疲れてないかな。
　今日は、私疲れた顔してないかな。

　そして駅につく。
　改札を出て、すぐ彼を見つける。

　さっきまで妄想していたこと、考えていたことなんて全部忘れちゃって
　すぐ彼の元に向かってしまう私。

　「お疲れ様。」

　そういいながらお得意の笑顔である。
　また私の脳内ではＥＤＭが響きわたるわけだ。
　「あぁ、会いに来てよかった」

　私たちが付き合うまではあと少しかかるだろうが、
　この瞬間を楽しんでいるのもあながち嘘ではない。

　もう少し楽しんでから、先に進んでいこう。

　そしてお互い発した言葉
　「今日は、夜ご飯どうしようか。
　　　　どこに行こうか！」