出会い

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 それから店外で会うようになり、すぐに交際がスタートした。関西に初めて住むという彼と多くの観光地をめぐってたくさんの思い出を作った。  もちろん、海遊館(大阪にある大きな水族館)や神戸の街並みを楽しみ、京都の多くの神社に行き、さらには花火大会にも行った。ひとつひとつの二人のプチ遠出が本当に楽しくて幸せだったことは言うまでもないが、デートの詳細に関しては、また今度。   それほど大好きだった彼との別れは突然訪れた。というよりも私が引き起こしてしまった。 私は、酒乱である。 お酒が大好きで夜の仕事もしていたわけだが、酔うと本当にたちが悪い。男の人に絡みたがる女なのだ。しかも、絡むというのも、やたら話かけに行くような可愛い絡みではなく、その腕にくっついてみたり、腕を組んだり、どうかするとキスまでしてしまうのだ(これが本当のキス魔である)。    その日もある知り合いと外食に行っており、お酒をしこたま飲んだ私にはキス魔が降臨し、居酒屋が連なる繁華街の帰り道で路チューをしていたわけだ。(今考えれば本当に若かったなという思いで胸がいたくなる。)そして、路チューしていたところを仕事帰り同僚と飲みに行っていた帰りの当時の彼と出くわして、失望されたわけだ。  しかし、彼はそんな酒癖が悪い私のことを分かったうえで、付き合い続けるという選択をしてくれた。それが余計に傷ついた。私の馬鹿な行動で傷ついているはずなのに、どうしてそんなに簡単に付き合い続ける選択ができるのか。そして別れは私から告げた。  今回の行動も然り、やはり自分自身で反省するべきことがあること、更には彼が仕事で忙しい時期だったというのもあり、さみしい思いをしていたことを告げて別れたのだ。別れたあとすぐ、彼は関東に転勤になった。  一年間付き合い、私が学生生活を卒業したあと結婚しようということまで話していたのに本当に馬鹿なことをした。
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