第三楽章・猫のメッセージ

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 涼子は友太を無視して、リュックかレコーダーを出して準備を始めた。気になったが、SNSにおばあちゃんの事故死を晒され、無慈悲なコメントをされて人間不審になっている。  しかし友太は距離を詰めて座り直し、バッグからタブレットを出して、手慣れた手付きで操作した。 「オレ、堂安友太。ちょっとひきこもってた時期もあり、今は定時制高校に通ってる」 「なんだよ。いきなり自己紹介?」 「ゴメン。でもオレ、分かったんだ」  涼子は友太の必死な感じに思わず吹き出し、その笑顔に反応して黒猫も他の猫たちも友太に注目した。  黒猫が『ニャーゴ』と鳴き、涼子は『しょうがないな~』と苦笑して友太に問い掛ける。 「それで分かったって。何が?」 「これ見て」  友太は一人分空けたくらいの距離で涼子にタブレットの画面を向け、ネットサイトからダウンロードした写真を見せた。
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