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日の暮れた街の通りを堂安友太はイヤホンをして音楽を聴き、雑多な人の流れに紛れて俯き加減で歩いている。いつもと変わらない風景であるが、地下鉄駅に入って改札の方を見ると、数十匹の猫の群れが列になっているので不思議に思った。
猫は我が物顔でゾロゾロと改札を通り抜け、先頭の背中にリュックをして首にBOSEのヘッドホンを掛け、赤いキャップと白いマスクをした少女について行く。
堂安友太は驚いて窓口の駅員に視線を向けたが、通勤客と話して気付いてない。
『マジか?』
まっ、いいやと友太はポケットに手を突っ込み、猫の列の最後尾について改札を通り過ぎた。
都会では有り得ない光景ではあるが、友太はそれほど気にかけてはいない。夜間高校の帰りで疲れていたし、人間社会と関わるのは好きじゃなかった。
『人間は苦手だ』
中学校の後半は不登校で引きこもっていたし、今も苦手意識は消えず、地下鉄ブルーラインであざみ野駅から三ツ沢上町駅まで通うのがリハビリみたいな感じだ。
ヘッドホンをした少女と猫たちと一緒にエスカレーターと階段を降りて、同じホームの後ろ付近で電車を待つ。猫の集団は少女の周りに集まり、おとなしい猫もいれば、じゃれて遊んでいる猫もいる。
『自由気ままな猫が羨ましい』
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