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涼子と友太は猫の群れを引き連れて地下鉄の駅を出ると、三ツ沢上町の公園前にあるマクドナルドに入り、テラス席に座って電車の中で見た幻想的なシーンを話し合った。
「父が海に流されるのを見たよ……。きっと、港でフィールドレコーディングをする父の写真を見たからだね」
猫たちは周辺に集まってポテトとナゲットとドリンクを白いテーブルの上に置く二人を見守り、涼子はまだ少し涙目で、電車の最後尾の車両の床に座って目を閉じ、ヘッドホンから聴こえる波の音に耳を澄ますシーンを思い起こす。
「フラッシュバックみたいに、父が学校の子供たちの歌や港の人達の話しにマイクを向け、和やかに笑ってた」
「オレには津波しか見えなかった。たぶん、心の中にあるイメージが蘇ったんだろうな」
「もしかして」
涼子はふとテラス席の周辺で戯れる猫たちに視線を向けて、この子たちの死を想像した。黒猫は三毛猫とテーブルの下に居たが、涼子の想いを感じて隣の席に飛び上がってちょこんと座る。
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