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ホームの真ん中辺りにサラリーマンと学生っぽい人が数人いたが、別に猫を気にする素振りはなく、友太は流石に変だと思い始め、電車が到着すると猫たちの同じ後方の車両に乗って少し離れた座席に座り、斜め向かいの席でマスクを外した少女に視線を向けた。
『年下かな?』
スタジャンに膝に穴の空いたジーンズ。マスクはポケットに入れてリュックを床に置き、ショートの髪を整えてキャップをかぶり直し、猫の群れを眺めて微笑む。
『ボーイッシュな猫好き』
猫はあらゆる種類がいて、黒猫に三毛猫、ロシアンブルー、シャム、メイクィーン、アメリカンショートヘア、ペットショップで見かける猫が勢揃いして、少女と友太を乗せた電車は地下鉄の暗いトンネルの中へ向かう。
友太はイヤホンで70年代頃のポップスを聴き、時折少女と猫に視線を向けてリズムに合わせて軽く首を揺らす。エルトンジョン、ビリージョエルにビートルズ。今流行りのを聴かないのは、ある種の現実逃避かも知れない。
そして電車がスピードアップして暫く走ると、猫たちが緊張したように耳を立て、突然すべての猫顔が一斉に前方を向いたので、友太もそれにつられて前を向き、それに気づいた少女が友太を睨んだ。
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