わろし

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なんだろうね。 べつに俺は望んでその位置を貰ってるわけじゃないし。 やったら、っていわれて、じゃあやろかな、ってながされただけだし。 まぁいいんだけど。 どの道俺が選んだこと。 まぁ、まぁ。俺は他人からの評価には敏感じゃないし。 割とそのまま、フラットに生きてるから。 そのせいで嫌われたとか思わないし。 自分のせいだしねって、それで済ませるよ。 生徒会会計。 その肩書きが俺に何をもたらしたって、受験への悪影響だけだよ。 それでも成績の一部になるかもなんて思ったのがまず間違い。 部活はボランティア、学級委員に生徒会。 中学の頃と同じ世界と思ってた俺のせい。 幼稚園から一貫の高校に外部として入って、生徒会の位置づけの高すぎる異常な学校を理解しないまま流されてようやく気づく。 あれ、これ間違えたんでは。 先生こそ関与するが、放任しすぎなこの学校で、校風は生徒よりにそまっていく。 あぁはいなるほどね。 なんとなく、なんとなく…自分が歓迎されていない事に気づいた。 高校生にもなって、アホみたいなイジメをする人はいない。 それでも風評は広まるもの。 ──あいつ、エンコーしてんだって── ──母親がキャバ嬢とか── ──馬鹿、そんな人だって世の中にはいんだよ、あいつ自身をみてやれよ、かわいそうだろ── ──可哀想ってのがかわいそうなんだよ、そっとしとこうぜ── 評価の内容はどうでもいい。 問題はことある事に俺の名が囁かれること。 ストレスは溜まる一方、生徒会の忙しさに走り回って、気づいたら友達といいたい距離の奴はいなくなってた。 会話こそすれども、信じていないはずの噂に少し距離のある接し方をされる。 俺のせいだから俺がなんとかしなきゃ。 生憎悲劇のヒロインに陥った気持ちになれる楽観的な性格はしていない。 追い詰めて追い詰めて、気づく前に倒れた。 気遣いをみせる大人が俺に一言、 「頑張りすぎだよ、お疲れ様」 …あぁ、努力が足りない。
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