僕と君の初めての夜

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「うゎ~」 思わず声を出してしまった。 こんなこと、書いてなかった。 腕の中の君は温いお湯の中で、 気持ち良かったんだよね? 僕は間違えてはいないよね? これは罰ではないよね? 君の尿意を顔で受け止める。 左手で耳を押さえたまま、 右手で君の体を支えているから、 どうすることもできない。 叫び声を聞いて、 君の母がバスルームのドアを開ける。 「どうしたの?!」 「オシッコした。顔にかけてくれた。」 僕の妻でもある君の母、愛ちゃんが声をあげて笑う。 「赤ちゃんのオシッコは、どんな名水よりも綺麗だからね。ちゃんと洗えた?耳にお湯入れてない? どうでした?念願の初入浴。 結構たいへんでしょ? 二日に一度はお願いね、なるべく早く帰ってきて。」 愛ちゃんは一方的に話すと、バスタオルを広げて君を僕から受け取った。 君は母に抱かれて、キャッキャッと声をあげている。 「パパとお風呂気持ちよかったねぇ~。怖くなかったでちゅか~。」 そんな言葉を残した愛ちゃんに抱かれて、 君は行ってしまった。 ずっと楽しみにしてたんだ。 産声を聞いたあの日からずっと。 沐浴じゃなくて、こうして一緒に湯船に浸かる日を。 二日に一度。 もっと上手になるから。 お腹のタオルが落ちないように。 育児本に書いてあった。 赤ちゃんは、湯槽では お腹の上にタオルが広げられていると 安心できますって。 〈fin〉
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