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高校一年の冬、小学校時代から仲良くしていた友人が突然、死んだ。
遺書は残されていなかった。
理由は誰にもわからなかった。 ……おそらく自分以外は。
受験に成功して、新生活がはじまって。
ちょっと調子にのって、浮かれてた。
同時に、古くからの付き合いだったけど、自分より勉強できないと踏んでた友達が、同じように合格したのを知って、卑屈な感情を抱く。
顔には出さなかったけれど、妬みのようなものが、じわじわと心の底に湧いてくるのを感じた。
こっちは必死で頑張って、ぎりぎり合格を勝ち取ったんだぞ? オマエ何なの? みたいな。
すぐに、他に仲いい友達がたくさんできて、奴とは、ちょっと距離を置くようになった。
大っぴらに悪口言ったり無視したり、そんな子供っぽい嫌がらせをするつもりはなかった。
人にバレないよう、もっと地味に陰険な方法で。
軽くイジるとか、からかうとか。 遊びに誘わない。 グループトークから外して。 こっそり陰で笑う。 それくらい。
相手は、もともと穏やかで大人しい性格。
気も強くないから、反抗してこないのも最初からわかってた。
体も細くて小さい。 スポーツも苦手。 体育の授業をさぼってることもしょっ中だし。
それに言動がマイペース。
人と感覚がズレてるようなところもあったから、何となく大丈夫な気がしてた。
次第に孤立していく姿を、遠くから眺める。
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