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旅1
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この世界の動物は全体的に小さい。
けど馬のサイズは普通だと思うんだ、人間乗せて走れるわけだし。軍馬なんかは足も太い気がする。
俺の横を通り過ぎて行った馬を見送り、俺はお気楽気分で街道を歩く。
ぽてぽて、とてとて、たまにしゃがんで、たまに立ち止まり。のんびり歩けるところまで。目的地はすぐそこだと言いたげに。
道の横には小麦なのかな、もっさもっさと青い葉が伸びていて、所々で人の頭が見え隠れしている。
農作業はどこも大変だと、俺は足を止めて腰の水筒を外す。
アイスコーヒーは香りが少し飛んでいて、それでもロイドレシピで作ったので味はいい。それを口へ含み、空を見上げた。
水色の空には薄い雲。どこも変わらないものだと嚥下して、水筒を腰に戻してまた歩き出す。
また馬が俺の横を追い抜いていき、固められてはいるけど土の地面、砂埃を巻き起こして遠ざかって行く。
けほりと咳をひとつして、俺はぽてぽて歩き続ける。
ずっと王都にいて、俺の家で安寧のときを過ごしていた。
毎朝スラムマラソンをして、池の魔道具に魔力を注ぎ、絡んでくる強者を切り捨てて、ここは俺の池だとふんぞり返り楽しんでいた。
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