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そんな危険なことを、なぜ俺がしないといけないんだ。
この世界の住人がしたことだ。この世界の住人で決着をつければいい。
きっと彼女は、神の餌となるだろう。元の世界でも神官騎士をしていたなら、きっと喜んで……魂を差し出すだろう。
リオが俺のグラスを掴む手に、手を重ねてきた。
「クリス、愛している」
真摯な眼差しを俺に向け、想いを言葉に乗せて贈るリオに微笑む。
「俺も、リオを愛している」
だけどリオ、最弱メンタル虫が起きている。
ふざけんなと。俺たちはお前らの玩具じゃないと。やめてくれと。これ以上苦しめないでくれと。
意味もなく、そこにある機械を戯れに動かし、関係ない者を浚い、使い、食いつくす。
このクソみたいな世界(かみ)が憎いと。そして、助けてくれと泣いている。
「リオ、これが終わったら、しばらく一緒にいてくれ。俺の横で、俺の手を握っててくれ」
でないとまた、逃げ出しそうなんだ。
「うん。手を繋いで、離さない。クリスの手を離さない」
「……愛してる」
「俺も愛してる」
召喚魔方陣は、難解すぎて分解するのも難しい。
それでも俺は、解読にせいを出す。
大規模魔方陣すら、完全に解読できなかったのに。何を探し、何を求めているのか。
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