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最弱メンタル虫と弱虫が、泣き叫んでいてうるさかった。その泣き声が聞きたくないから、俺は笑っていたのかもしれない。
俺は、理不尽な暴力が好きじゃない。
なのに、それなのに。俺は、生きるために理不尽な暴力を振るっている。
矛盾に心が軋んでも、それでも俺はこの世界で生きていくと決めたんだ。
なのに、それなのに。魔方陣を調べている。逃げようとしている。
矛盾、矛盾、矛盾だらけ。
「リオ」
呼んでもいいかな。こんな俺でもいいのかな。
「アル」
胸に手を当てて、揺れるカーテンを見つめる。
「うん、生きてるよ」
これからも、この先も。
だから生きるために、俺は必要なものを手にする。迷う必要はない。その必要はない。歩き続けると決めたのだから。
<リオ、会いたい>
魔力が揺らぎ、黒い自動ドアが目の前に現れる。
ドアはゆっくり開き、そこから生きるために必要なものが、俺の元へと現れる。
「クリス」
「リオ」
手を伸ばせばその手を掴み、俺を引き寄せて抱きしめてくれる。
「どうした?」
「リオに会いたくてたまんなくなった。ひとつになりたい」
溶けあいたい。
俺を拒絶しないで。俺を受け入れて。俺もその輪の中に入れて。
みんなと溶け合って、まっさらになりたいだけなんだ。
たった、それだけすら許されない。それが俺を狂わせる。
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