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昨日の早朝、僕は二人の息子たちを連れて釣りに出た。
漁師になった幼なじみが船を出してくれた。彼とは、地元の高校を卒業して離ればなれになったあとも会う機会があり、今は家族ぐるみの付き合いが続いている。息子たちは、彼を‘’父親の友達の船長さん‘’の意味で「友船長」と呼んで慕っている。
「男の子はいいよなあ、一緒に釣りに行けて。」
やつの口癖だ。彼のところは娘が一人だから。まあそんなこと言いつつ、いつも娘がかわいくて仕方ない話しぶりだ。
「珍しく朝から来てるんだ、サチ。どういう風の吹き回しだろうな。」
漁協の建物の陰からサチが姿を見せた。すらりと長い足がショートパンツから伸びている。
そういえばもう高校生か。長男のヒロより3つ下、次男のカズより1つ下。昔からはつらつ、あっけらかんとした少女だったが、そのまま素直に育っている。手をブンブン振りながら、スキップするように寄ってきた。
「おじさん、おはようございまーす!お久しぶりでーす!」
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