あるアパートの話

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こんにちは、蒼井智佳です。 私はノンフィクションホラー小説を書きながら、自分も少なからず、心霊体験をした事があります。今日はその事をお話していきたいと思います。 その前に、理解していただくために恥ずかしながら私の事を少し書きたいと思います。 幼い頃から、従姉妹の影響もあり、怖い話や、ホラーマンガに興味を持ち、映画もホラーやサスペンスばかりを観るようになったわけですが、それは自分の中で所謂「現実」と「作り物」と区別しているから平気なのです。 実際、経験する度震え上がるくせに、と自分で自分を嘲笑いたくなりますが・・・。 そんな私が初めて体験した時は高校生でした。 特に何をするでもなく、いつも通りの行動をしその日は何故かすんなり眠りに落ちました。普段から眠りにつくまで1時間近く布団に入り、ゴロゴロする性分なので珍しかったのは今でも覚えています。 それが、どれくらい時間が経ったのかわかりませんが、意識が段々と現実に引き戻されて行く感じがして、周り、耳元でですが沢山の人の声が聞こえました。本当にラジオのチューニングをしてるような、電話の混線、雑踏のざわめき、あのような感じが近いかもしれませんが、とにかく沢山の人達の話し声が直接脳に入ってくる感じでした。 直感でこれは「ヤバイ!」そう思ったときには、もう遅く、身体は全く動かなかったんです。 実は、怖いもの好き、幽霊の存在も信じていても、半信半疑なところはあったんです。 しかし、身体は動かない、なにやら声は聞こえる(何を言っているのかはわからない、ただ大勢がざわざわしている)こうなるとどうしようもない、ただ気持ちばかりが焦る。 体を一気に動かす、そんな方法を何処かのテレビ番組(もちろん心霊特集)で観ました。 お腹の下の方に力を入れて・・・・。 振りほどくように、とする前に、自分の右斜め上辺りに異変を感じました。 おかしいのは、眼を閉じているのに見えるということ。 床から、黒いヒトガタの何かがゆっくり出てきているのです。 しかも、イメージとしてそのヒトガタは緑色に輝きだし、段々と上半身が現れてきて、私の頭に「もうだめだ!」と過り思い切り体を横に動かす仕草をしました。 すると、重い体がやっと動いたのです。
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