あるアパートの話

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「なに、今の・・」 夢なのか、現実なのか、私は怖くなって直ぐに部屋の電気をつけました。 きっと夢、疲れていたせい、金縛りは頭が動いて体が寝ている状態に起きる現象だし(怖いから逃げてるだけです。) その日は怖くて暫く眠れませんでした。 関係あるのかないのか、その二日後に祖父が亡くなりました。 その日を境に金縛りに遇うことが多くなった気がします。 大体寝る前に「これはくる!」とわかる事が多く、お決まりのざわめきがあり、動かなくなる。というのがパターンですが、いつの間にか振りほどく技術(?)は身に付きました。それでも毎回怖いという気持ちは拭えませんが。 幸いというか、見ることはなく、私はどちらかと言えば「聞く」事が多く、いつの頃か金縛りのとき耳元でハッキリ「聞いて・・・」と言われました。 いやいやいや、聞きたくない!何も聞きたくない!半泣き状態でした。 あとは、試験勉強中に眠くならないようラジオを流してたりもしてたのですが、ノイズに混じり 「だ・・レ・か」と聞こえてきたりしました。(勿論、即スイッチオフ) さて、前置きはこのくらいにしてここからが本題になります。 大人になり、結婚して独立しアパートで生活していた頃に色々とおかしな事が起きるようになりました。 家の電話が勝手に電話帳機能を開いて、登録された適当な番号を画面に表示させる。(調子が悪いだけと思いたい。) オーディオ機器が勝手に作動し、入っていたCDが鳴り出したり。 その頃も時々金縛りはありました。 主人がお風呂に入っていると、お風呂の磨りガラスに人影が映りこみ、スッと消えたそうです。 私がいたのかと声を掛けられたけど、私はその時部屋でテレビを見ていました。 それから、主人がリビングで遅くまでテレビを見て起きていると、廊下を人の気配がする。歩いてくるので、私が起きたと思いそちらに眼を向けると誰もいなかったり。 もはや私だけではなかったのです。 私達の部屋は一階の道路側から二番目の部屋で、上下に五部屋づつありました。 リビングからベランダに出られ、そちら側に駐車場があるので、夜遅くに人が歩く事もありますが、主人が「今黒い影が通った!」そう言ったので、私は少し開いていたカーテンからそーっと外を覗きましたが、誰もいません。
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