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『ねえってば……』  三度聞こえるその声に男はほんの少し恐怖を覚える。雨のせいか鳥肌が立った。 『聞こえてるなら返事してよ……ねぇ』  男は気味悪くなりこの道を出ようと前へと前進。  道の景色は当然さほど変わらない。変わったのはBARと思われる看板が上についているだけ。  そして気づく。さっきまで前にいた人影が消えている。 『返事してよ……風邪引くよ?』 「うるさいなぁ!!」  男はこの予報はずれの雨のせいもありいつも以上にイライラしていたのだろう。そう叫んでしまった。  その時男の右肩に何か。  ぐっしょり濡れた手。  ビルとビルの間から吹き込む雨が止んだ。いや道の先を見るに止んではいない。  男はゆっくりと上を向く。  
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