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【女性作家Yは、Aの感想文にしだいに追い詰められていく。精神的に限界まで追い詰められた作家Yは、Aに自分が書いた一冊の小説を送った。その内容はAに対する挑戦状のようでもあり、また遺書のようでもあった】
「……遺書?」
その言葉に抱いた亜弥の嫌な予感は、次のページの文章で現実のものとなる。
【そしてその夜、連絡が取れず困り果てた担当編集者の男性が女性作家Yの自宅を訪ねると、リビングにYの死体が転がっていた】
亜弥は、なぜか胸騒ぎがしてテレビをつけた。ニュース番組にチャンネルを合わせると、男性キャスターが深刻そうな顔でニュースを読み上げた。
「たった今入ってきたニュースです。人気作家の黒川ヤヨイさんが、自宅で死亡しているのが発見されました。第一発見者は、黒川さんの担当編集者の男性だということです。警察は殺人事件として捜査をしています」
手に持っていたリモコンが床に落ちて、音を立てた。亜弥は、すっと血の気が引くのを感じた。
「殺人……、どうして……」
黒川ヤヨイが殺されたことは、ショックだった。だがそれよりも、自分が読んでいる小説の出来事が実際に起こっているということが恐ろしかった。
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