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彼が窓ガラスを割って亜弥の自宅に侵入し、彼女の部屋へ入ったとき、亜弥は部屋の扉が開く音に気がついて振り向いた。亜弥はあの日カメラマンが撮った写真と同じように、開いた本を持って立っていた。
悲鳴を上げる前に、彼はキッチンに置いてあった果物用のナイフを亜弥の胸に思いきり突き刺した。
亜弥の手から、本が落ちた。それを追うように、胸から流れ出た赤い血が流れ落ちた。
床に倒れた彼女の手が転がった本に伸びたが、その手は本に届く前に止まってしまった。
亜弥はその本の、「しおりのさき」にあるストーリーを予想できなかった。
担当編集者の男は、黒川ヤヨイの恋人だった。彼は自分が亜弥を有名にしてやったせいで、恋人を失うことになるなんて思ってもみなかった。
亜弥や姫ジャンキーからの容赦ない攻撃で、最近の黒川ヤヨイは疲弊していた。精神的に不安定になり、涙を流す日が多くなった。
そんな恋人の姿を見るたび、彼は後悔した。そして、亜弥への怒りも大きくなっていった。
しかし、これこそが黒川ヤヨイの考えた、殺人への「布石」だったのだ。
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