0人が本棚に入れています
本棚に追加
「あっついよー・・・、喉乾いたよー」
裕子はぐったりと道路際のガードレールにもたれ掛かっている。
自分達が辿り着いたのは10日後の未来ではないという事実が判明した。地下鉄の1番線に乗って来なければならないところを、誤って2番線に乗ってしまったのだ。
そしてここは、ただ今夏真っ盛りのご様子。ビルの電光掲示板には32℃という表示が出ている。
「あ、そうだ裕子、コンビニ行こうよ。飲み物、電子マネーで買えるかもしんないよ」
どうやらここはそれほど元の時間と変わらないように見える。
もしかしたら自分達が乗ったのは未来行、ではなくて、過去行だったのかもしれない。つまり10日前の世界だと、自分は思っている。
しかし、そんな自分の予想は大きく外れた。
「真由、ここってこんなに道幅狭かったっけ」
ぽつり、と裕子が疑問を漏らした。
「う、うん?そうかな・・・」
そう誤魔化したが、実は自分も気付いていることがあった。
―お好み焼き屋さんが無い・・・
先ほど通った所に、お好み焼きや焼きそばを売る店があって、いつも通るときソースの良い香りがしていた。その店が無くなっている。
そして、自分達は目的のコンビニエンスストアに辿り着けなかった。何故だ?
結局、大分歩いてから偶然通りかかったコンビニで、ジュースとお菓子を買い、
そして、
今がいつであるか、それはいとも簡単に判明した。
店に入ってすぐ左、雑誌コーナーに行く手前に、新聞は並べられている。
その一つに目を落とす。
紙面の上部の日付を見て、自分は卒倒しそうになった。
「2005ねん!?」
自分より先に裕子が叫んでいた。
そう。そこには、今日という日が、自分たちがやって来た2015年より10年も前の、2005年7月18日であることが示されている。
最初のコメントを投稿しよう!