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なぜ私は、生まれてきてしまったのだろう。
なぜ私は、周りの人たちのようにうまく笑えないのだろう。
そんなことを初めて思ったのは、七歳の頃だった。
あの頃のことは、今でもハッキリと覚えている。
覚えているからこそ、私はいつまでもこの暗闇から抜け出せないのかもしれない。
七歳の頃、母が亡くなった。
母は私にとって、唯一の光だった。
酔うと家族に暴力を振るう父から、母は私のことを守ってくれた。
私は、一人で逝ってしまった母を恨んだ。
どうして、私も連れて行ってくれなかったの?
母がいなくなった日から、地獄のような日々が始まった。
すぐに父は再婚した。
再婚相手の女性は、決して私を可愛がることはなかった。
父の暴力は、予想通り母から私へと移った。
徐々に痛みの感覚も麻痺していき、助けを求めることさえしなくなった。
どこにも、私を助けてくれる人はいない。
私はこのまま死んでしまうのかもしれない。
でもその暴力は、五年で終わりを迎えた。
父の弟が、私を助け出してくれたのだ。
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