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「それで、今日はどのようなご用件で?」
イシュガーノ帝国魔術学院学院長室にて。
呼び出されて学院長しにやってきたサーファは、部屋に入るなり、いつものおちゃらけた様子なく、真剣な眼差しを向けていた。
「単刀直入に言うとな、サーファ君。君に話というのは、編入生についてなのだよ?」
「……編入生、ですか?」
「うむ。明日からこの学院に編入される新しい生徒を、サーファ君のクラスで受け入れてくれないかね?」
「明日から? またそれは随分と急な話ですね……シラって子も急でしたが……こんな中途半端な時期に編入されるのも妙ですね」
「……もっとも、君に拒否権はないのじゃが」
学院長は執務机を滑らせて、手にしていたものをサーファの方へと送る。
それは一本の筒型の封筒。すでに蓋の封蝋は解かれている。見ればその筒型封筒には住所などが記載されていない。筒の装丁に使用されている革の高級さも考慮すれば、きっとこれは送り主が郵政機関を通さず、信頼できる筋の人間を使って直接学院に運ばせたものだろう。
(……帝国軍で使われている封蝋か?)
サーファはその筒を手に取って蓋を開け、筒の中から綺麗に丸められた一枚の羊皮紙を取り出し、それを広げた。
その羊皮紙には細かい文字で要項がびっしりと書かれている。
「こりゃ……女王陛下公認の帝国政府公文書……しかも設定されている秘匿特級がやけに高い……。軍の人事異動に関する最重要機密文書じゃないですか! 一体誰を送り込んできてるんです?」
サーファの冷静ぶりに、側から見ていたセシルが茶々を入れてくる。
「おっ。今日はやけに真面目だな? どうした? 変なものでも食ったか?」
「俺もたまには真面目にもなる。例の件もあったし……なにより、彼女からの手紙が気にーーいや、なんでもない」
要項がびっしりと書かれている羊皮紙を凝視する。
「うむ。平たく言えば、今回の編入生をサーファ君の担当するクラスへ、名指しで編入するように指示する旨が書かれておる。女王陛下勅許、帝国政府直々の指令をもってな」
「……まさか」
不自然な時期の、唐突な編入生。わざわざ自分のクラスへの編入指定。
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