1)手を

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 ある夜、私は、会社の同僚と飲みに出ていた。  いわゆる花金ってやつだ。  まだまだ若い私だが、花金という金曜日には、目がくらんでしまう。  やっぱり私は、お酒が好きなのね?  そして..........    その夜、飲み会の帰りは、12時を回り、深夜になってしまった。  駅から家までの距離は10分。  駅からの帰りは、いつも徒歩だ。  いつも通り、音楽を聴きながら耳にイヤホンをさして、  お気に入りの洋楽でも聞きながら帰る。  さて、そろそろ二曲目に入り、気分は上々の私は、  今にも踊りだしそうな気分で帰っていた。  今日の飲み会は本当に楽しかったのなあ。  そういえば、あいつら付き合ったんだっけ?  私も彼氏ほしいなあ、そろそろ。  たった10分の帰り道でも考え事することは楽しい。  いろいろなことを妄想する。  そのときだった。    前から歩いてきた男が  「今帰りですか?」  「よかったら、ごはん食べに行きますか?」  と声をかけてきた。  またいつものナンパか。。  と思いながら、  「いや、今日、急いでるのですいません。帰宅します」  と一言。  たいていのナンパは、そこで引く。    そしてしつこいナンパは、「いや!それでも!」という。  しかし、彼は違った。    「家まで送ります。」    何を言っているんだこいつ。  家までってもう目と鼻の先だよ、私の家は。    「いえ、大丈夫です。もう家近いので」    それでも私の前から離れない彼。  そして突然  手をつかんだ。  「手、つないでくれませんか」    その瞬間に気持ち悪さのバロメーターは、MAXである。    本当に気持ち悪い。こいつはなんなんだ。    「いや、離してください」    ぎゅっと握りしめられる手。  そして一言  「この手、離さないから。  一緒に帰ろう」
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