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「財前(ざいぜん)様ー!財前様ー!あ、居た」
雲に乗った仙人が見つけたもの、いや、見つけた人物は草葉の影にひっそりと隠れながら、必死に何かを凝視していた。
「財前様、タイムオーバーですじゃ。今日も帰りますぞー」
仙人が財前の肩をポンと叩くと、激しくビクンと肩を震わせ、物凄い勢いで草葉の影から飛び出してきた。
「き急に肩叩いたら、び、ビックリするじゃないか!」
草葉の影から飛び出してきた財前は、小柄で見るからに少年のような出で立ちをした死神である。
「先ほどから何度も名前を呼んだんじゃが・・・」
困惑する仙人
「今日も1日中標的を眺めていたんじゃな。はぁ、」
財前の視線の先では標的が元気にモヤモヤしていた。
「ち、ち、違うよ!隙を伺ってたらこの時間になって、今だ!って行こうとしたら君に呼び止められたんじゃないか」
財前の、最早聞き飽きたデタラメな言い訳には、ため息しか出ない。
「そうでしたかそうでしたか。それは失礼じゃったのう。ワシは財前様の足手まといにしかならぬようで、もう辞めさせていただきますじゃ」
仙人は力なく肩を落として金斗雲に乗り込む。最後のお仕事だと、財前に乗雲をうながした。
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