伝説の仙人

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「おい!お前よぅ。標的一匹斬んのに何分かかってんだゴルァ」 自分の担当する死神が、冷や汗を垂らしながら必死に標的と鬼ごっこする姿を見ながら、ウンコ座りするパンチパーマで上下白いスーツに身を包んだヤクザ風の男は、まさしく仙人である。 「おい!一発で仕留めろよ一発でよー!」 間合いを誤り空振りしただけでも仙人から檄が飛ぶ。 憎しみの混じった視線を仙人に飛ばしながら、頑張って標的をポットに納めた。 「ったく遅っせぇ・・・。ほら次行くぞ次。早く乗れよ」 地面に唾を吐きながら雲に乗り込もうとした仙人を、死神が呼び止めた。 「ちょっと鬼蔵(おにぞう)さん!」 鬼蔵と呼ばれた仙人は、めんどくさそうに振り返る。 「なんだ?なんか文句あんのか?」 鬼蔵の態度にいっそう腹が立った死神は、ズカズカと掴みかからんばかりに歩み寄った。 「アンタさ、人が一生懸命仕事してんのに、さっきから文句ばっかり言いやがって、いい加減にしてくれないか!」 「あ?一生懸命?あれが?お前、才能ねぇから、とっとと生まれ変わりの門でもくぐっちまった方が、あの世のためじゃねぇのかぁ?」
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