1

2/5
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
いじめられたことなんてなかったのに。 何で何だろう。 いきなり教室に入ると冷たい目をされた。 小学四年生の秋だった。 夏休み前はそんなことなかった。 みんなは私から目をそらし始めた。 主犯格っぽい女の子が陰で笑っている。 悲しかった。 自分が認められなくて、自分という存在が無いように扱われていて、悲しかった。 「おいAらいさん、あんたさ偉い子ぶってるならさ全部やりなよ。これ、ぜーんぶ。」 私に渡されたのは、みんなの宿題だった。 私はこれ以上いじめられたくなかった。 素直に受け取って、全部解いた。 そして、先生にそれが知られて怒られたのは、私だった。 担任の先生が、新任の先生で相談しにくかった。 だから、いじめられたままだった。 唯一心を打ち明けられるのが、私と同じくいじめられていた女の子、聖子ちゃんだ。 聖子ちゃんも、同じ人たちにいじめられていたらしい。 同じ思いを持っていたからこそ仲良くなれた。 私はそんな気がした。 そして、もっと分かり合える気すらきた。 けれど、その期待は裏切られた。 聖子ちゃんが、私たち話さなくなった。 そして、私はまた一人ぼっちに戻ってしまったのだった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!