横断歩道のロボット

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横断歩道のロボット

 家の近くに横断歩道がある。  ここにロボットが立っていた。  郊外の住宅街と住宅街の間を抜ける片側一車線の道路は国道と旧国道を繋ぐバイパスになっている。もともと道幅のわりに交通量が多かったのだが、最近になって、駅前に向かう小路が拡張、整備されてT字の交差点になった。往来はますます盛んになった。  道沿いにはスーパーマーケットやガソリンスタンド、ファミレスなど生活に根ざした商業施設が点在し、小中高の学校も近い。駅前の繁華街ともつながった。近隣の住民は常に何がしかの理由でこのT字路を渡ることになる。  交差点にはもちろん、横断歩道と歩行者用の信号もついている。しかし、車の通行量が多いために、点灯時間は十分と言えず、健常な大人の足でさえ時折、不便を感じる程度に短い。さらには押しボタン式で待ち時間も長いため、車の往来の間隙を縫って渡ってしまおうとする者が多いのは、ごくあたりまえの帰結と言えた。     
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