鮭ダービー

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指示された場所にはダービーの参加者とおぼしき老若男女4名及び複数のスタッフらしき人達があわただしく準備に追われているようだ。そこに参加を勝手に決定してくれた男性が私に近寄より赤いゼッケン5番とプラスチックの細長い水色の棒を渡してきた。何がなんだかわからないが、出されたものを思わず受け取ってしまった。 ああ、今なら断れたのに・・・と頭を過ぎるも今更とも思う。 しかしこの渡された品はなんなのか。ゼッケンはなんとなくわかる。しかし問題はこの棒だ。棒は全長約50センチ。某の先約10センチは平たい四角形で細かい網目模様になった代物がついている。 見たことのあるプラスチックの棒。この製品名は・・・いや、製品名より前に私の頭にはある昆虫名が浮かんだ。イヤイイヤイヤ・・・それはないと頭から考えを必死に追い払いながらゼッケンを身につける。私の身支度が終わったのを見計らったかのように別の男性に呼ばれた。 「では皆さん。こちらへお集まり下さい。ルール説明を行いますので」 あ、ルール説明なのかと。というか私は未だに鮭ダービーが何か解らないのにルール説明もクソもヘッタクレもあるかと思う。しかし同様のゼッケンをつけた参加者らが静かにしているので私も大人しく説明を聞くことにした。
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