鮭ダービー

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「鮭ダービーですがルールは簡単です。まずは会場のプールを見てください」 私たち参加者は一斉にプールを振り返る。 プールは直径10メートル位の楕円形。真ん中は大きく穴が開いて横幅は均一。要は陸上競技場のように楕円形の形をしている。トラックの部分がプールで真ん中は地面といえば解っていただけるであろうか。 このプール、いくつか細工が施してある。まず目に入ったのは5匹の鮭と鮭の周りの囲ってあるゲートである。鮭の鼻っ面と尾びれの前後にゲートが1つづつ設置されており鮭を囲うようになっている。さらに鮭1匹づつの側面は仕切りがされており完全に1匹づつの空間になっているつくりだ。そして鮭の背鰭には糸らしきもので各自のゼッケンと同じ色のビニールと番号が書いてある薄いビニールらしきものがついている。 レース用の鮭がゆらゆらと体を揺らすのに合わせてカラフルな色彩と鮭の銀色が日の光に反射して綺麗だなと一瞬思う。しかしそれと一緒に沸きあがるデジャウ感。どこかで・・・? ま、すくなくとも鮭が生きてる時点でレースの内容は「焼き鮭の早食い競争」とかの類ではなさそうだと胸をそっと私は胸を撫で下ろした。何故なら私にはバーベキューコーナにまだまだ未練があるのだから。今、早食い競争などで腹一杯になってはいけないのだ。
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