175人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
私には強力な味方がいる。
康宏の母親だ。
なにせ光浦家とは私が赤ん坊の頃からの付き合いである。
おばさんは私を娘のようにかわいがってくれているし、将来的には私に嫁に来てほしいと思ってくれている。
ゴールデンウィークの序盤にバイトの連休が取れた私は、実家に帰ったタイミングでおばさんに連絡をして、私の実家から徒歩10秒のところにある光浦家に乗り込んだ。
「こんにちは、おばさん。久しぶり」
「郁美ちゃん、いらっしゃい。久しぶりっていっても、お正月ぶりね。バイトだなんだって言って帰ってこないヤスより、郁美ちゃんとの方がずっと頻繁に会ってるわよ」
おばさんは見るからにメンテの行き届いた、美しい中年女性だ。
年相応にふくよかで、張りと気品がある。
康宏は誰がどう見てもおばさん似だ。
おじさんに似たのは天パの髪質くらいだと思う。
おばさんはセミロングのウェーブヘアだが、天然ではなくパーマをかけている。
「ヤスくん、全然帰ってこないんだ?」
「そうなのよ。まったく、なにがそんなに忙しいのかしら」
おばさんは光浦家の末っ子である康宏を溺愛……という程ではないが、二十歳を超えた今でもとてもかわいがっている。
康宏はそれを鬱陶しく思って実家に帰りたがらないが、そろそろ一度帰ってあげた方がいいと思う。
最初のコメントを投稿しよう!