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ぞんざいな仕事をしていると、どんどん自分を厭になっていく。今日、先生の処で、雑な雑巾がけをした。隅の方を丸く拭いた。早く書庫で遊びたかったからだ。帰り途で気が附いて、つまらないことをしたと、反省している。時間なんて、幾らでもあったのに。
◇
「お前は貧乏性だね、ヨミヒコ君」と、兄に云われる。
「いつもせかせかと忙しく何かをしていないと落ち着かないんだろう」。
頭に来たが云い返すことは出来なかった。痛いところを突かれたからだ。兄に自分を見透かされると、たまらなく口惜しい。
◇
以前に云われた言葉を憶い出す。「何事も気楽にやりなさい、ヨミヒコ君。気楽に、丁寧に。それだけで良い」。はい、先生。
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