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朝起きて、日課の写経スル。写経と云っても、先生の処から借りてきた本の抜き書きだ。
美しいと感じた文章を、一字ずつ自分の手で書き写していると、心が水面のように穏やかに澄んでいくのが判る。一日を気分良く過ごす為の、まじないのようなものだ。
◇
自分の字が、もう少し恰好良ければ良いのにと思う。美しく書こうとすればするほど、不恰好になってしまう。不恰好な字で書いた文章はやはり不恰好なようで、何度も何度も消しては直して、とうとう納得のいかないまま終わる。
◇
コダマに休日を誘われたけれども断る。
コダマは今日一日ずっと私を恨みがましい目つきで見ていた。
どうして人の勝手な期待に応える義務があるのだろう。
私は休日は先生の処で過ごすのだ。コダマの休日のことまで私は面倒を見られない。
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