34人が本棚に入れています
本棚に追加
どうでもいいものをたくさん持っているよりも、本当に好きなものを少しだけ持っていたい。
◇
先生の家の門前を掃除していると、先生の指輪のように美しい石を見つけた。拾って、手のひらにのせてみると、何ごとか呟いている。耳に近附けると、「空腹だ空腹だ」と、くり返すのが聞こえた。石は一体何を食べるのだろう。興味深いので自分の物にした。
◇
海を泳ぐ魚は、その海の大きさを識らない。ただただ夢中で泳ぎ続ける。泳ぎ続けているうちは、海の大きさなど気にもかけない。けれどふと疲れて、くたびれた鰭を休める時、自分が識らないと云うことに、しんから怯えるのだ。
最初のコメントを投稿しよう!