ユメヨミ記

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どうでもいいものをたくさん持っているよりも、本当に好きなものを少しだけ持っていたい。 ◇ 先生の家の門前を掃除していると、先生の指輪のように美しい石を見つけた。拾って、手のひらにのせてみると、何ごとか呟いている。耳に近附けると、「空腹だ空腹だ」と、くり返すのが聞こえた。石は一体何を食べるのだろう。興味深いので自分の物にした。 ◇ 海を泳ぐ魚は、その海の大きさを識らない。ただただ夢中で泳ぎ続ける。泳ぎ続けているうちは、海の大きさなど気にもかけない。けれどふと疲れて、くたびれた(ひれ)を休める時、自分が識らないと云うことに、しんから怯えるのだ。 image=510688233.jpg
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