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不味くて不味くて薔薇を諦める。こんな調子では仙人にはなれないと思うと、つくづく哀しくなって、まだ花弁の残るのを、庭にそっと埋めた。
◇
師曰く、「花はたとえだ」。「何のたとえですか」。「花は心だ。人の心だ」。「人の心を食べるのですか」。私の真剣な問いに、先生は大声で笑われた。
◇
兄がダイオウグソクムシになって帰ってくる。無駄輪廻のきわみだと思いながら、私はその奇っ怪な躰を抱き締めて泣いた。起きると本当に兄が帰ってきていて、きちんと人間の姿で、間違えて人の寝床で睡りこけていたので、非情に腹立たしい気持ちになった。
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