ユメヨミ記

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兄にまた日記を盗み見られるかも識れないと思うと、筆記帖を取り出すにも慎重になる。何が口惜(くや)しかったかと云うと、一年以上もの間、見られていたことに全く気附かなかったと云うことだ。兄の悪魔的な周到さにも腹が立つし、己の迂闊(うかつ)さも忌々しい。 ◇ 満たされた個々人が互いに干渉しない状態を、平和と呼ぶのだ。 ◇ 暑くて、鰻して過ごす。堕落するのは簡単だ。人間を放棄してしまえば良いのだ。そう思って、身顫いして飛び起きて、自転車を漕いで夕焼けの川を見にいった。
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