ユメヨミ記

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先生はいまだに私を「ヨミヒコ君」と呼ぶのである。いっこうに改めてくれる気配がない。もっと(いや)なのは、兄まで「ヨミヒコ君」だの「ヨミ君」だのと呼ぶことだ。そして自分も幼い頃のまま、兄を「お兄ちゃん」と呼んでしまうことだ。 ◇ 何かを信仰していることは、決して誰にも識られてはならないのだ。他人は平気で人の信仰を踏みにじる。この日記は、机の、鍵のついた抽斗(ひきだし)に必ず仕舞っておくこと。以前の失態を、私はまだ自分に赦してはいない。 ◇ 手をつかうこと。躰をつかうこと。 先生の第一の教えだ。 image=510647150.jpg
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